
クサメタル界の神EQUILIBRIUM
EQUILIBRIUMがクサメタル界の神なのは言うまでもありませんよね。で、今作『ARMAGEDDON』はどうなのか。結論を先に言うと、かなりの良盤なんじゃないでしょうか(現時点の感想)。いわゆる「クサメロ」「疾走感」は以前よりも減ってはいるものの、胸を打つメロディが飛び出してきます。今作に限った話では無いのですが、私がこのバンドの大きな特徴と捉えている点が二つあります。
・ギターリフの大味さ
このバンドは、悪い意味でなく、のっぺりとした大味なギターリフが多いと感じます。このワイルドさ、私は嫌いじゃありません。
・基本的にキーボードの旋律をなぞるだけのヴォーカルライン
殆どの場面において、ヴォーカルはキーボードと同期しています。
上記の二点の特徴があるので、このバンドは、とにかくキーボードのメロディラインを際立たせることに特化したアレンジを施していると思います。私はあまりフォークメタルには詳しくないので、もしかしたらフォークメタル全般に言えることかもしれませんけど。
EQUILIBRIUMは、先進的なコード進行とか緻密な構成美とか超絶技巧とか深淵な世界観とかがあるバンドではありません。そういうのはTOOLとかCYNICに任せておきましょう。悪い意味じゃなく、EQUILIBRIUMは"聴けば聴くほど味の出る"タイプというよりは"一発でブッ飛ばされる"タイプのバンドなんですから、あなたが"一発でブッ飛ばされる"かどうか、聴いてみるのが一番早いはずです。とりあえず、私が現時点で一番好きな曲を貼っておきます。後半はブラストビートが登場します。
また、SIGHの川嶋未来氏によるインタビュー記事もとても参考になります。今作のライナーノーツも氏が執筆されています。このお方が誰かご存じないという不届き者は、こちらの記事をご覧ください。
インタビュー抄訳
EQUILIBRIUMのブレーン、René Berthiaumeに対してTHE METALIST誌が行ったインタビューから、大事そうな所をピックアップしました。かなり意訳です。誤訳等があったらご連絡ください。また、上記の日本語インタビューと被っている部分は省略しました。・自分は北欧やアイルランドの民謡だけでなく、南米、アジア、(ドイツの)バイエルン地方の民族音楽から、幅広く影響を受けている。
(何か映像を思い浮かべながら作曲しているのかという質問に対し)「その通り。新曲のアイデアや雰囲気が思いついたら、俺はいつもインターネットでそのムードに合った画像を探しているんだ。風景とかアトモスフィア(訳者注:うまい訳が思いつきませんでした)の良い画像を見つけたら、それをデスクトップの壁紙にするんだ。作曲してる時にいつでも見れるようにね。」
(なぜ英語の歌詞が増えたのかという質問に対し)「その理由は2つある。ひとつは単純に、このアルバムのいくつかの曲にはドイツ語よりも英語の方が合うと思ったから。ドイツ語と英語の響きは全然違うんだ。もう一つの理由は、前作で一曲だけ英語の曲を収録したら、多くのファンが気に入ってくれたからさ。翻訳しなくても歌詞の内容が理解できるからね。今作は以前よりシリアスなテーマやメッセージを盛り込んだから、より多くの人に、曲を聴きながら歌詞の内容を理解してほしかったんだ。」
・アルコールに関する曲はもう3つか4つはあるので、今回は作らなかった。
(どのようにして「Born To Be Epic」のような従来の路線と曲を作ったのかという質問に対し)「たまたまさ!俺は何か新しいサウンドを生み出したくてこの曲を書き始めたんだけど、最初は全然気に入ってなかったんだ。でも、ある晩、俺のガールフレンドにそれを聴かせたらすごく気に入ってくれてさ。最終的には、俺たちのお気に入りの新しい曲が生まれたのさ。典型的なEQUILIBRIUMの曲じゃないけど、バンドのバイブスはあるし、奇妙な何かが加わってる。以前、『Sagas』の「Unbesiegt」では、俺たちはラテン音楽の要素を加えた。新しいことを試すのは良いことさ!」
・今作はアートワークも含め、従来よりダークな作風にした。今までのアルバムと異なり、今作の最初の一曲目を書いたときから、自然と暗い曲が出来た。
・今作には、より個人的なフィーリングを盛り込んでいる(訳者注:おそらく歌詞のテーマについて)。新メンバーの加入は作曲には影響していない。メンバー交代は多いが、ヴォーカルがHelgeからスタイルの違うRobseに変わった時を除いて、作曲に大きな影響は無い。
・Robseが加入して初のアルバム『Rekreatur』制作時には、曲は既に作曲済みだった。もっと高音のヴォーカリストを想定して書いたので、当時は曲とヴォーカルがうまく噛み合っていないと感じていた。今作は新ギタリストDomのスクリームとRobseのグロウルを併用している。
試しに訳してみましたが、私の英語力ではなかなか骨が折れます。気力があれば今後もやっていくかもしれません・・・。
このアルバムは、あのクサメロという評価基準において頂点を極めた『Sagas』には及ぶアルバムでは無いかもしれません。が、問答無用で胸を熱くさせるエネルギーのつまった素晴らしい作品です。オススメです。